リンク
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
この3日間、LiDCOという新しいモニターのデモンストレーションにつきっきりで、ろくにブログをUpする暇さえありませんでした。
この器械、専門用語でいくと、「動脈圧波型だけから心拍出量・体血管抵抗を連続して表示する」ことができます。 心臓がどのくらい血液を全身に送り出しているか、という情報は、心臓の中にカテーテルを入れたり、エコーを使ったり、ドップラーを使ったり、、という手段しかなく、侵襲的だったり、1時的な情報だったり、不安定だったり、、という問題が付きまとっていたのですが、これがほぼ解決されるという画期的なものです。 今抱えている臨床研究の一つに使いたい、ということで、この会社とコラボレートできるかどうか話し合うためにはるばるテキサスから来てもらったのですが、 実際に手術室で使っていると、 「これは便利だねえ。なに、イギリス製?そりゃだめだ」だの、 「この器械、いつまでここにあるの?え、水曜まで?Reneに言って買ってもらってよ!」だの、 と皆、勝手なことを言いつつも臨床現場で大好評。 なかなか使える”おもちゃ”(新製品の医療器械のこと)が来ているという噂はあっという間に広まって、入れ替わり立ち替わり見物人が現れる始末。 この3日間で、脳外科、肝臓移植、腹部の大動脈瘤、大きな脊椎の手術、などに使ってみましたが、確かに信頼できる値が安定して得られて、なかなかの優れものです。 最初は興味をほとんど示さなかったボスのReneのところにも評判が伝わったらしく、最終日の今日の午後には、「で、値段は?」とちょっぴり乗り気。 図らずも手術室への導入検討が始まったお陰で、私たちの研究には器械本体をタダで貸し出ししてくれることになりそう。よかった、よかった。 #
by TLJG
| 2004-12-08 19:58
| 研究メモ
昨日の夜の段階で予定手術は3件だけだったのに、
次から次へと準急患が追加されて、結局倍の6件に。 今日はちょっと早く帰れるかな、、と期待していたけど、そうは問屋がおろしませんでした。 こういう展開ってしょっちゅうなんですけどね。 いつも裏切られて、”もう次こそは期待しない!”と決意するのに、また裏切られ。。。 今日は金曜日。 土日に具合が悪くなって急患手術をしなくちゃならなくなるよりは、 今日中に駆け込みでも手術しとこうよ。 という外科の事情もわかりますよ。 でもねえ、、も少し計画性を持って早めに知らせてくれるとか、 そういう心配りをしてくれてもいいんじゃないの?? しかも、今手術創を閉じている、脳外科研修医のDavidくん、 いい奴なんだけど、手が遅いんだな、これが。 他の研修医の倍の時間は平気でかかる。 いや、早いのがいいというわけじゃないんですよ。仕事が確かなのが一番。 でも、君はもう2時間近くも創を縫いつづけているのだよ。 もうちょっとどうにかならんのかい?? などと、心の中でぶつぶつ愚痴を言いつつ、ブログのネタにしてしまう麻酔科医。 どっちもどっちなのかなあ。 #
by TLJG
| 2004-12-03 08:16
| 手術室にて
朝、いつものように手術予定表をチェックしていると、ちょうど私の臨床研究の対象にピッタリの患者さんが。。さっそく、担当麻酔チームに交渉開始です。
まず、麻酔医スタッフの同僚にアプローチ。 「あのー、実はかくかくしかじかの臨床研究をやっててー、この患者さんをリクルートしたいんだけど、、、構いませんか?」 風邪の真っ最中で声がガラガラの同僚、考えるのも面倒くさそう。 「うーん、あー、とりあえず、担当の麻酔看護士に聞いてもらえます?」 当の麻酔看護士のJerry、 「え、リサーチするの、この患者さん?肥満だしねえ、睡眠時無呼吸だしねえ、、、 何?Isoflurane使わないといけない?そりゃ無理だ。何せ睡眠時無呼吸の上に肥満だから、Isofluraneなんか使ったら覚めが悪くてICU送りになっちゃうよ!!」 今日は患者さんにたどり着く前に、ここで終了です。 医療的な議論はさておき、プロトコールに従うのが面倒だったり、自分のペースが乱されるのがいやだという理由で、今日のように麻酔科の同僚の協力が得られないことはしばしばあります。 (同じ科内のプロジェクトであっても、個人的に嫌なものはいや!と通せるところはアメリカらしい) 麻酔科チームを口説くのに成功したら、今度は患者さんにアプローチすることになります。 ここでは、かなり慎重に言葉を選びつつ話をせねばなりません。 まず、にこやかに、穏やかに、かつ、プロフェッショナルに、、 この研究に協力しないと医療サイドの気分を損ねるのではないか、というプレッシャーを与えない。というのが一番気を遣うポイントです。 「このプロジェクトはあなたの手術や麻酔とは関係なく、完全にオプショナルなものですよ。」 「協力していただいても、そうでなくても、手術も麻酔も全く同じものを行いますよ。」 「どんな理由でも、理由がなくても、いつでも、どんな状況でも、このプロジェクトへの協力を拒否する権利があるのですよ。」 というようなことを、しつこいくらいに繰り返し繰り返し確認しながら説明を行います。 ちょっとでも迷いがあったり、気が乗らない患者さんにはそこで説明を打ち切り、それ以上干渉しません。 この病院がアカデミックの病院であるということを患者さんが知っているせいか、 プロジェクトがシンプルで一般の方にもご理解いただきやすいせいか、 小さな東洋人がつたない英語で一生懸命話しかけてくるのが哀れに思えるのか、 私の場合、患者さんのサイン獲得率は90%。 これは、なかなか誇るべき数字なんだそうです。 この臨床研究をめぐる口説きのテクニック、日常生活で活かす場があるといいんですが、、 #
by TLJG
| 2004-12-01 21:47
目下抱えている臨床研究の一つは、3ヶ所共同のプロジェクトです。
しかも、提携先はスイスとオーストリア。 国際電話やEメールで世界は狭くなったとか言いますよね。 10年前、いや5年前には考えられなかったことが、 続々と簡単にできるようになってきたのは確か。 でも、やっぱり海の向こうは遠いのです!!(涙) 時差のせいでお互いの都合のいい時間がなかなか合わないし、伝達事項が全員に回らなかったり、1ヶ所が何かの理由で行き詰まると、他もそれを待って足踏み状態におちいったり、、 このプロジェクトの立案・中心人物が ここからスイスに異動したので こんなややこしいことになってしまったのですが、毎日大量のメールが飛び交っても 事の進むスピードは超スローペース。 いらいらして、ああああ~~~!!と叫びたくなることがしばしばです。 (多分お互いそう思っているんだと思いますが。。。) Iで始まるコンピューター会社やM字マークのファーストフード、などなど、、世界にまたがって大きく事業展開している会社はたくさんありますが、ホント、みんなどうしてるんでしょうね。 #
by TLJG
| 2004-11-29 10:54
| 研究メモ
科学は日進月歩。
一昔前は原因不明といわれたような病気も、どんどん仕組みが解明されてきています。 感染症ひとつとっても、HIVに肝炎、SARS、、と、話題が尽きることはありません。 病気の仕組みがわかるようになるのは大変喜ばしいことなのですが、その一方で、発病の原因がわからなかったがために、今ならば防げる病気にかかってしまった方が大勢いらっしゃるのはご存知の通りです。 医療従事者は血液などの(未知の)感染性の病原体を含む可能性がある物質に触れる機会がとても多く、皮膚の傷や針さしなどから感染症をもらってしまったり、病原体を媒介してしまう危険と隣り合わせの仕事でもあります。 新札で話題の野口英世は研究対象の黄熱病で亡くなりましたし、SARS騒動の際も医療従事者に感染者が多発し、その結果、感染が爆発的に拡大してしまったのは記憶に新しいかと思います。 前置きが非常に長くなりましたが、そういうわけで、医療従事者自身が感染から自分の身を守って、感染の媒体となることを防ぐことは、ごく基本的かつ重要な技能の一つとみなされています。 私の日常から紹介すると、まず、朝手術衣に着替えて、頭にはキャップをかぶり、ポケットにディスポの手袋をたっぷり詰め込みます。大げさな話ではなく、手袋は1日1箱近く使っているのではないかと思います。患者さんを診察する時から始まって、麻酔中のどんな処置をする時も常に新しい手袋をつけ、汚れたらどんどん替えるので。なるべく眼鏡かバイザーも付けるようにしていますし、部屋から出てきたら必ず手も消毒薬で洗っています。 もちろん使った針はそのまま専用のゴミ箱へポイ。(針刺し事故が一番怖いので) 断っておきますが、私は普段の生活ではまーったく潔癖症ではありません。 (「あんなに気を遣って育てたのに、、」と母が嘆くくらい、どうでもいいタイプ。) 我ながら習慣というものはスゴいです。あはは。。。 このような感染防御は、1987年に発表されたUniversal Precautionという“全ての血液や組織は感染性の可能性があるという認識で扱われなければならない”という考えに基づいて行われています。1987年といえば、私はまだ医学部にも入っていない頃の話なので、医療現場で実際どのくらい変化があったのかはわかりませんが、恐らくかなりの意識改革を迫られたのではないかと推察します。 点滴にてこずりはじめると、”えーい、こんなものするから入らんのじゃ!!”と手袋をかなぐり捨てる老眼鏡世代の方が結構いますので。。 #
by TLJG
| 2004-11-27 10:39
| 手術室にて
|
ファン申請 |
||